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自律神経の測定方法である、心拍変動解析について

心拍変動解析(Heart Rate Variability Analysis)

心拍変動解析(Heart Rate Variability Analysis)は、自律神経機能を評価するうえで非常に強力な道具である。正確で信頼性があり、再現性がある上にしかも測定とデータ処理が簡単である。

心拍変動は、継続する一拍毎の拍動間隔の測定が情報源となる。心電図は拍動間隔を測定する最もよい方法だと考えられている。心電図は、心臓部分の胸部もしくは肢節に特別の伝導性の電極を取り付けて電気信号を測定するものである。それは、洞房結節から発し心筋細胞によって生じた電界の微細な変化を反映するものである。心電信号は、特別でダイナミックな波形を持っているので検出および分析が簡単である。心電図から得られる心拍リズムは真の洞房結節リズムを検出する為に最善であるだけでなく、心拍変動解析から除外されるべき全てのタイプの異常拍動を検出するためにも最適である。

心拍間隔を測定するもうひとつの方法は脈派である。この方法は、非侵襲的でフォトプレチスモグラフ(PPG)を基礎にした簡単な測定法である。PPGは、赤外線を毛細血管に放射した時に検出される血流の変化を反映する信号である。血流の量により赤外線の一部が吸収され残りは通過するか反射される。光センサーは、血流を通過した光(もしくは反射した光)の量が作り出す脈派である波形を検出する。これらの波形をプロセスして、一拍ごとの拍動間隔を導き出すことが出来る。このように、PPGからは心拍変動にかかわる心臓および血管成分を反映するまとめとしての情報が得られ、安静状態で測定されたECGとPPGによる短時間記録の拍動間隔データの間に、非常に高い相関関係があることがこれまでの調査でわかっている。

心拍変動解析の方法

短時間心拍変動解析は、非常に短い記録時間(一般的に5分間)を要するのみである。しかしながら、そのような記録は安定した生理的状態で行われるべきで、比較データを作る場合は、測定時の被験者の状態について適切な標準化が行われなければならない。一般的に、そのような測定は仰臥もしくはリラックスして座った状態で、体の動きや会話や特別の意識活動は全て抑えなければならない。

時間領域分析で得られる指標は、計算上最も簡単である。計算に先立って、全ての異常心拍と体の動きに原因する異常心拍は除去されなければならない。時間領域分析として長時間記録および短時間記録に基づき計算される指標は、心拍平均値(Mean HR)、心拍変動標準偏差値(SDNN)、および連続心拍変動標準偏差値(RMS-SD) である。

長時間記録においては、他の特別な指標もいくつか計算される。時間領域分析指標は、ほとんどが記録時間中の心拍数の全体的変動に関するものである。その内RMS-SD が例外で、これは副交感神経によって非常に急速に起こる変動に関するものである。

時間領域分析の心拍変動指標の内、もっとも重要かつ一般的な指標はSDNNであり、これは特定の時間内における心拍の全体的変動を反映している。しかしながら、SDNN値は記録時間の長さによって変わる。

安定した標準測定状態では、5分間心拍変動記録のSDNN値は、夜間の睡眠やより高い心拍数を示す日中の肉体的および精神的活動期間を含む24時間記録のSDNN値に比べ一般的に極めて低い。

周波数領域分析は、一定の周波数帯において特定の生理的プロセスに関連して起こる心拍変動に関係するものである。

周波数領域分析を行う前に、全ての異常心拍および体の動きで生じた異常心拍を除去し、その後カルジオタコグラム(心拍頻度=RR間隔の連続記録)を通常のサンプリングされた信号のように再構築し直さなければならない。

自己回帰法(AR)パワースペクトル

最近のいくつかの研究で、心拍変動のパワースペクトルを推定するのに他の代替手段として自己回帰法が使われている。この方法のもっとも大きな長所のひとつは、分析するデータが安定状態で収集されたものである必要がないという点である。従って、どの心拍変動データでも分析出来、しかも適切な情報が得られる。そのような分析は、比較的短い時間(5分以下)のデータでも心拍変動の重要な情報を失うことなく行うことが出来る。しかもこの方法は、心拍の急激な変化を捉えることが出来、自律神経バランスの細かな変化を適切に示してくれる。この方法の欠点は、最善の自己回帰モデルを見つけるために膨大な計算が必要なことである。

周波数領域分析心拍変動

Frequency-domain HRV

前述の適切に修正された記録をもとに標準のスペクトル分析が行われ、トータルパワー(TP)、高周波(HF)、低周波(LF)、超低周波(VLF)の5分間分析指標が計算される。長時間データが分析されるときには、極超低周波(ULF)がこれらに追加される。

hrv

光がプリズムで7色に分光されるように心拍の揺らぎも高周波(副交感神経)、低周波(交感神経)に分析できます。

心拍変動(HRV)は、心拍の変化を表しており、連続する心拍間隔を分析する事によって算出されます。

心拍変動解析は、いくつかの方法があるが以下の2つが最も一般的です。

時間領域解析

・周波数領域解析

高周波パワースペクトルは0.15-0.4Hzの間で分析される。この周波数帯は副交感神経(迷走神経)神経の活動を反映しており、呼吸に即座に反応して変動し、呼吸洞性不整脈として知られている。

低周波パワースペクトルは0.04-0.15Hzの間で分析される。この周波数帯は交感神経と副交感神経の両方の活動を反映している。

超低周波パワースペクトルは0.0033-0.04Hzの間で分析される。この周波数帯の生理学的意味についてはもっとも議論の多いところである。記録時間が長ければ長いほど交感神経の活動を反映し、同時にゆっくりとしたホルモンと温度調節の影響を表すと考えられている。これまでいくつかの研究で、短時間記録では、超低周波数帯はいろいろなマイナスの気分や心配や黙想等の状態をよく表している事がわかっている。

参考値幅

臨床的観点からみて、全ての心拍変動データを分析するだけでなく、それらのデータが正常か正常でないかを査定することが大事である。心拍変動値は年齢に依存し、加齢と共に減少することがわかっている。心拍変動データをよりよく評価出来るよう、個々の心拍変動指標の為の特別の参考値幅をつくった。この参考値幅は、標準化されたコンディションのもとに、異なる年齢層の健常人の心拍変動データを測定し統計的に算出されたものである。ただし、このような基準値はあくまでも参考であって、いかなる診断の目的にも使われるべきものではない。

また他の研究では、うつ病やパニック障害や不安が自律神経機能にマイナスの影響、特に副交感神経活動の消耗の原因になることがわかっている。他方、交感神経活動の増大は心室細動の最小限界値と関係している。これら2つの理由から、極度の精神的および感情的ストレスによる自律神経のアンバランスが、何故急性心筋梗塞後の心臓突然死のリスクを増大させるかの説明が出来る。

心拍変動の臨床的重要性

心拍変動が加齢や自律神経機能の減少、ホルモンの緊張、糖尿病性末梢神経障害のような自律神経障害の特殊なタイプと関連して低下し、急性心筋梗塞後の突然心臓死のリスク増大に関連することはこれまでにわかっている。

加えてこれまでの多くの研究で、極度の心拍変動の低下を生ずる多くの病的状態の治療期間中、さまざまの薬物および非薬物による介入によって起こる生理的変化を量的に測定する方法として、心拍変動が非常に有用であるとの見解が示されている。

しかしながら、これまで心拍変動解析がはっきり臨床的示唆として認められているのは次の2つの医学的状態のみであるという事を忘れてはならない。

急性心筋梗塞後の不整脈もしくは突然心臓死のリスクの予後。

  • Predictor of risk of arrhythmic events or sudden cardiac death after acute MI.

糖尿性末梢神経障害進展の臨床的マーカー。

  • Clinical marker of diabetic neuropathy evolution.

今後、心拍変動の観点からさまざまな臨床的見解や状態の研究が進む中で、心拍変動は健康一般の研究で将来もっとも有用な指標のひとつとなるはずである。

心拍変動連続モニタリング

今日心拍変動測定の道具として使われているものは、短時間心拍変動測定とそれらのデータに基づき静態的分析が出来るものである。個々の分析は、ある特定の時間帯に何が起こったかについての情報はもたらすが、心拍変動に反映される生理的変化のダイナミズムについてはなんらの考慮もされていない。

我々は、繰り返し長時間にわたって連続して行える心拍変動分析の新しい方法を開発した。標準5分間分析を使って心拍変動分析を行い、それが0.5秒毎に連続して更新されるようになっている。心拍データをリアルタイムで分析する強力な方法で、心拍データを信頼出来るものにするための異常心拍検出も行えるようになっている。パワースペクトルの計算には新しい自己回帰法を使い、さまざまな介入による一時的変化が、即座にしかも確実に検出できるようになっている。特にこの方法は、介入によるさまざまな影響を検証するときに効果的である。例えば、特定のアレルギーテストやさまざまの毒性物質に対し自律神経がどのような反応をするかをテストするときに効果的である。自律神経バランスに与えるとつぜんの変化を検出できるということは、自律神経バランスに影響を与えることによってアレルギー反応を引き起こす物質を高い信頼度のもとに検出できることになる。

参考文献

  1. Task Force of the European Society of Cardiology and North American Society of Pacing and Electrophysiology. Heart Rate Variability standards of measurements, physiological interpretation, and clinical use. Circulation 1996, No 93, 1043-1065.
  2. Hainsworth. The control and physiological importance on heart rate. In: M. Malik and AJ Camm, Heart Rate Variability. Armonk NY: Futura Publishing Co. Inc., 1995, 3-19.
  3. S. Akselrod. Components of Heart Rate Variability. In: M. Malik and AJ Camm, Heart Rate Variability. Armonk NY: Futura Publishing Co. Inc., 1995, 147-1

出典資料:Biocom社

末武 信宏Nobuhiro Suetake

医師・医学博士
さかえクリニック院長
第88回日本美容外科学会会長
日本美容外科学会認定専門医
順天堂大学医学部病院管理学非常勤講師
一般社団法人 先端医科学ウェルネスアカデミー副代表理事
一般社団法人 日本美容内科学会理事
サイエンス・アーティスト

監修者紹介