
呼吸や血液循環、消化吸収などは、自律神経によって機能をコントロールされています。胃や腸などの消化器官だけは副交感神経が強く作用する時によく働きます。
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腸内環境を整えることが健康のカギ
自律神経のバランスが乱れて交感神経が強すぎると、摂り入れた食物を運んでいく「ぜん動運動」がうまく行われなくなってしまいます。腸が正しく働くためには、副交感神経がきちんと働いていることが大切です。
腸の働きが低下すると

・肌荒れ
腸内環境が悪くなり、悪玉菌が発生。腸からの栄養分の吸収に支障を来たすと、肌にも栄養が巡らなくなり、にきびや湿疹などができやすくなります。
・便秘・下痢
腸内環境の悪化や腸の働きの低下により、蠕動運動に支障を来たすと便秘と下痢を繰りかえしてしまうことがあります。
・風邪をひきやすくなる
腸内環境が悪くなると、腸内に存在する免疫細胞に影響を及ぼして免疫力が低下します。その結果、風邪を引きやすくなったり、病気になりやすくなります。
・肥満
腸内環境が悪いと、脂肪燃焼に必要なビタミンやミネラルなどの栄養素吸収できず、脂肪燃焼効率が悪くなります。代謝も悪くなり、むくみやすい体になります。
・生活習慣病
腸内細菌はインスリンの分泌や尿酸のコントロールにもかかわっているため、糖尿病や高血圧にも影響することがわかっています。
腸内細菌
腸の中には数百種類もの「腸内細菌」が棲み着いており、その総数は100兆個とも、それ以上ともいわれています。人間の場合、体を構成する細胞の数はおよそ60兆個とされますので、腸の中の細菌だけでもそれよりも多いことになり、「人間」という生き物は「細菌」に支配されているようにも思えます。腸の中(人間からすると外側ですが…)は広げるとテニスコート一面くらいの面積があるとされ、そこに棲むこれらの細菌達の助けも借りて、人間は食べ物を消化し、そして栄養の吸収を行っています。これら多くの細菌達と、仲良く共存することが、「良い食事」の効果をいっそう引き出すと考えられます。
腸内細菌は、腸の環境を決定する、大きな要因の一つです。生まれてすぐの赤ちゃんの腸内には「ビフィズス菌」と呼ばれる細菌しか、ほぼいないとされています。後に述べますが、このビフィズス菌は、いわゆる善玉菌のため、においの元となる腐敗物質を出しません。そのため、赤ちゃんの便は臭くありません。そこに、いろいろな形で外から菌が入り込み、前に述べた数百種類、100兆個の腸内細菌となります。
ここで一つ「うんちの蘊蓄」。普通であれば毎日出る便ですが、実は食べたかすばかりではありません。およそ半分以上は、腸内に棲む細菌の死骸であるとされています。おおよそですが、1グラムあたり便で10億個くらい、全体では数兆個もの死骸が毎日排出されています。なので、断食などをしても、便は出るのです。
腸内細菌の種類
腸内細菌は、大きく3つの種類に分けることができます。
善玉菌
ヨーグルトや乳酸菌飲料に含まれる乳酸菌やビフィズス菌などがこれにあたります。これらの細菌はその名の通り乳酸や酢酸などの酸性物質を出すことで、腸内を酸性に保ち、いわゆる悪玉菌といわれる腐敗菌の活動を抑えてくれます。善玉菌がきちんと働いていると、便やおならは臭くなくなり、色も黄色っぽくなります。更に近年の研究では、これら善玉菌自体や、それらが出す物質などが外敵から身を守る「免疫」を活発化させることが分かってきました。昨年あたりから爆発的に売れている、「インフルエンザを抑える」ヨーグルトなど、体の免疫力をアップするとされています。
悪玉菌
悪玉菌は腸内で腐敗物質を出したり、その仲間には食中毒を引き起こす輩もいる細菌です。代表的なものがクロストリジウムですが、仲間にはボツリヌス菌、破傷風菌、ウェルシュ菌など悪そうな種類がいます。ただ、このクロストリジウム、野菜などに含まれるセルロースを分解するには必須の仲間もいますし、「酪酸」という物質を出して、腸内を酸性にする菌もいます。さらに、最近の研究では、免疫によい作用を及ぼす仲間も見つかり、あながち「クロストリジウム=悪玉」ということではなさそうです。
日和見菌
腸内にいる細菌としては、最大派閥となっていることが多い細菌ですが、その働きに関しては、分からないことが多い細菌達です。その名の通り、「日和見」しており、腸内の善玉菌がきちんと働いている状況では、おとなしくしており、悪玉菌によって腐敗の状況になると腐敗菌(悪玉菌)として働くとされています。ただ、この動きも含めて、分からないことが多い細菌です。
産まれたばかりの赤ちゃんの腸内細菌は、ほぼ100%善玉菌です。それが、離乳食が始まる生後1年くらいまでの間に色々な細菌が入り込み、その人特有の腸内細菌バランスを形成します。腸内細菌のバランスですが、同じように育った兄弟でも、食生活に共通項が多い親子、夫婦でも十人十色、全く違う場合もあるとされています。また、どのようなバランスが「人間」としてベストなのか、はっきりとは分かっていません。1点、共通の認識としては、善玉菌の割合が二割程度であることが良いとされています。
腸内フローラ
この腸内細菌のバランスですが、「腸内フローラ」とも呼ばれます。この言葉も最近よく耳にするようになりましたが、フローラとは「お花畑」の意味です。
腸内細菌と呼ばれ、個々の菌が集まって複雑な微生物生態系を構築しています。
腸内細菌の数はおよそ100兆個、その種類は一人あたり数百種にのぼり、その構成は食習慣や年齢などによって一人ひとり異なっています。
この腸内フローラは、ヒトに対して様々な生理作用を有しています。有用な作用として、病原菌の定着阻害、免疫系の活性化、ビタミンの産生などが挙げられ、有害な作用として、腐敗産物や発がん物質の産生、各種腸疾患へ関与が挙げられます。
このように、腸内フローラはヒトの健康と密接な関係があります。ヒトに有用な働きをする菌を優勢に、ヒトに有害な働きをする菌を劣勢に保つことが、私たちの健康管理の上で大切であると言えるでしょう。
食事
食物繊維の多い野菜を積極的に摂って、腸の働きを高めて自律神経のバランスを整えましょう。肉や乳製品を減らして、できれば主食は玄米にするとよいでしょう。
みそ、しょうゆ、納豆などの発酵食品は、腸内の細菌叢を良好に保ちます。腸内環境がよくなることで、自律神経のバランンスも整ってきます。
食物繊維の多い食べ物をできるだけ摂るようにしてください。消化しにくい食物繊維が多い食べ物を消化するため、腸の動きを促して、腸内の善玉菌を増やしてくれます。腸の働きがよい状態は、副交感神経優位の状態です。海藻やキャベツ、ゴボウなどは多くの食物繊維を含んでいます。
酸っぱいものを適度に摂りましょう。酸っぱいものは、唾液や消化液の分泌を促します。消化液の分泌がさかんな状態とは、副交感神経優位の状態です。梅干し、酢、レモンなどを少量摂りましょう。
腸内環境を正しく整えることは、健康のみならずアスリートのコンディショニングにもつながります。
同時に、自律神経へのアプローチするエクササイズであるセル・エクササイズを行うとさらに腸の環境、機能の向上が期待できるでしょう。


